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女川マダム

 女川町の仮設住宅に住む六十から八十代の女性たちのポートレートです。彼女たちを対象に「メイク教室」を企画しました。家を失った人、家族を亡くした人、悲しみは様々でした。メイクを施し、少しでも明るい気分になってもらいたいと考え、私は記念写真を撮影することを思いつきました。

 

 震災からちょうど1年。メイクして美しく着飾ることすら忘れていた女性が多かった時期でした。津波で思い出の写真も失い、生きている証としての写真を残したい、つまり遺影を意識している人もかなり多くいました。小さな仮設集会所のスペースにストロボや背景紙を持ち込み、私はあえてスタンダードなライティングをセッティングしました。それはその人らしい表現ができると思ったからです。

 

 「私らしいポートレート」を手にした女性たちは笑顔に満ちあふれました。即席でプリントした写真を渡すと、女性達は女学生のように明るい声で写真を見せ合っていました。その瞬間、写真には人を幸せにする力があると私は感じました。

 

 父がかつて写真館でやってきたように、私は仮設スタジオという形で女性たちを喜ばせ、そして私は父の遺志を継げたような気がしました。(2012)